魔王さま100分の2
「ほら、魔王さま、みんなが待っていますよ」
「おお、すまんな」
金の魔王さまは、靴をえいえいと脱いでシートにあがる。
どこに座ろうかと考えて、もうひとりの自分の隣へ。
そして、もう片側の隣にシルキスを座らせて、開始の音頭をとった。
「よし、食べるぞっ」
小さな口を大きくあけて、たっぷり香辛料を効かせた肉を頬張る。
黒の魔王さまは、食べ始める前にシルキスに言った。
「シルキス、怪我が治ってよかったね」
「ありがとうございます。何のための席か覚えていただけて恐縮です」
頭を下げて、横の金の魔王さまを見るシルキス。
「私だって忘れてないぞ。ただ改めて言ってやる必要がないだけだ」
金の魔王さまは、鼻をならして次は魚を腹から丸かじりした。
シルキスは、苦笑い。
「そうですね。魔王さまには、隣にいていただけるだけで十分です」