魔王さま100分の2
「うむ」
受けとった魔王さまは、スプーンでスープをすくって、ふうふう。
慎重に熱が下がったのを確かめてから、ちょびちょびと飲む。
上品になった、と言えないこともない。
「用意がいいのね」
アイオネが言うと、シルキスはもう一本、スプーンを出して答える。
「いつもの行動で、予想はできるから」
そして、
「ありがとう」
その出されたスプーンに手をのばすのは、黒の魔王さま。
金の魔王さまの真似をして、少しずつふうふうしてスープを飲み始める。
「こっちも予想どおり?」
「まあ、だいたい」
「さすが大陸随一の魔王さまのお供ね。感心するわ」
「嫌味でなく?」
「嫌味よ」
「同じ世話係りに言われると傷つくなあ」
「世話係りは、そろいの指をはめたりしないもの」