魔王さま100分の2
「いや、今現在、膝と腰が壊れそうなんだけど」
「壊れて動かなくなるまでは問題なし。勇者の基本よ」
「そうだけど、嫌な生き物だなあ、勇者って……」
「その勇者の血で好き勝ってしているくせに。ま、潰された後なら助けてあげるから、さっさと運びなさい」
そう言って、アイオネはシルキスに背を向け、残りの樹をとりに門の外へ出て行く。
仕方なしに、ひとりで樹を引っぱることにするシルキス。
つぶやいた。
「……僕、そんなに好き勝ってしているように見えますか」
「好んで私を連れているのだ、それ以外の何でもないだろう」
金の魔王さまが、シルキスの隣で樹から落ちた小枝を手に、尖った歯を見せて言う。
「これが私を連れた去った対価だとすれば、軽すぎるぐらいだな」
そうだろう?
金の魔王さまは、枝でシルキスの背を叩いて頷かせる。