魔王さま100分の2

船に案内しながら、ルッティはエミリオに言った。

「今日も大成功でしたね。幽霊船ショー」
「そうだね」

毎回、ショーの盛り上がる様子は、こちらの作業区まで伝わってくる。

特に夏の観光シーズンは格別。

聞こえて来る観光客の叫び声だけで、ショーの進行状況が分かるぐらい。

「人間だけでなく、幽霊さんたちもお疲れという気分です」

「それはいいね、感謝の心は信仰の基本。気分だけでなく、実際に幽霊達に礼を言うといい」

「ありがとう、で通じますかね?」

「もちろん。言葉の内に宿るものは、人間も魔族も共通だ」

「魔族と一緒と言われると、複雑ですが……」

ルッティは、正直な気持を言った。

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