魔王さま100分の2
樹は、そのひと投げで領地の中に入り、振動を起こして転がった。
「あと5本持ってくるから、順に並べといて」
軽く言う、アイオネ。
洗濯物を取りこみに行くような足どりで、次の樹をとりに、再び壁の外に姿を消す。
シルキスは、魔王さま達に言った。
「ね、できそうでしょう?」
「うん」
改めて見たシルキスとの腕力差に、黒の魔王さまは笑顔で頷き、
「シルキス、お前とあれは、あんなに差があったのか」
金の魔王さまは呆れて言った。
「はい」
シルキスは、涼しく答える。
「次に戦うときは寝込みを襲え。私が許す」
「戦うことを禁じたほうが早いですよ」
「ふんっ、お前がいつも私のいう事を守るのならそうする」
「では、私が禁止する。アイオネとシルキスは喧嘩するの禁止!」
シルキスの両側で、魔王さま達はそれぞれの命令する。
シルキスは両方に分かりましたと返事し、樹を今の全力で引いた。