魔王さま100分の2

「アイオネは、私の髪を梳くのが好きだね」
「口惜しいですけど、大好きです」

素直に言うアイオネ。

魔王さまの笑顔と並んで、この島での数少ない喜びのひとつ。

「なぜ口惜しいのか分からないけど、アイオネが楽しいならそれでいいよ」

「ええ、楽しいので分からなくていいです」

アイオネは、さらに魔王さまの頭の上から髪を梳く。

「7日ぶりですが、相変わらず痛みも汚れもないですね」

「うーん、魔王の体質みたいだね」

便利な身体だ。

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