魔王さま100分の2

かなり贅沢な行為で、イアリミアべったりのアイオネには、ここでしかできないこと。

島の仮宿や、休みの間に過ごす本宿には、そもそも浴槽がないのだ。

魔王さまの笑顔と髪梳きに並んで、この島の数少ない喜びのさらにひとつ。

何かを条件に出されなくても入りたい。

(王国のお父様、お母様、私はまた魔王さまに篭絡されました。はやく引き戻してください)

アイオネは、誘惑にまけた自分をちょっとだけ叱り、お祈りする。

そして、追加。

(兄姉弟妹がやたらにいる家ですが、私のことを素で忘れていないでくださいね)

多産な勇者貴族にありがちなことだったりする。

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