魔王さま100分の2

見た目は、アイオネよりもやや背が高い、若い大人の女。

小麦色がかった肌は全身なめらかで、

後ろでひとつにまとめて垂らした長い黒髪と、とても調和している。

目鼻は、ほどよくくっきり。

一言で言って、美人。

もう一言加えると、アイオネよりも美人。

その美人がアイオネの手をとり、いきなり求婚する。

「で、私といつ結婚してくれる?」

アイオネは、その場で魔王さまの足首を握って逆さ吊りにした。

「わー、待った、待った、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、助けてーっ」

「反省もせずにふざけている私よりも綺麗な女は、死なない程度に泣かせます」

「最後のは、私のせいじゃなーいっ」

アイオネは、魔王さまが座っていたところに腰を下ろし、

片手で魔王さまを揺すってしばらく泣かす。

ぶーら、ぶーら、ぶーら。

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