魔王さま100分の2
実際、いたら大変だと思うアイオネ。
勇者と魔王さまが男女の関係になったら、職を放棄して駆け落ちしかねない。
「おい、シルキス、砂だ、砂の城をつくろう」
「童心全開ですね。似合っているからいいですが」
ここからは遠い浜で砂遊びを始める、
その大変なことをしでかしたカップル。
不幸で孤独なアイオネは、王国からこの迷惑者達のことをまだ知らされていない。
いないので、変わらぬペースで串を動かし、魔王さまの耳まわりを整えながら会話する。
「そこまで進んだ関係にならなくても、すこし気になった殿方とかは?」
「殿方ねえ」
アイオネの言い方が可笑しかったので、魔王さまは目を開けて笑う。