魔王さま100分の2
「いやー、アイオネはお芝居が上手くなったねえ。つくり笑顔は下手だけど」
「魔王さまは、また最後まで台詞を言えませんでしたね」
「ごめん、ごめん」
「謝罪はいりません、この遊びにそろそろ飽きてもらえれば十分です」
そう、これは魔王さまの遊び。
どこから演技だったかと言うと、
魔王さまがアイオネにもたれたところが開始の合図で、
そこから先はきっちりと演技。
「飽きるなんてまだまだ、まず最後まで出来るようにならないと」
「なら練習しておいてください。なるべくひとりで、私の見えないところで」
「アイオネは練習してくれたの?」
「言いたくありません」
「してくれたんだ」
アイオネを見上げた顔で笑う魔王さま。
僅かに尖った歯が、左右で一本ずつひかる。
お風呂に入ったら、歯ブラシを突っ込んでもっと光らせてやろう。
アイオネは決める。