魔王さま100分の2

「可能性としては途中で海に戻ってくれたり、途中で消えてくれたりすることもあるのですが……」

シルキスは、集まっている魔族の顔を見る。
どれもやたらにシルキスを信頼した顔。

唯一、むすっと敵意に近いものをぶつけてくるキーヤが、かえってシルキスの心をほぐす。

「間近で船を見ているこの海域の魔族や、幽霊対処の専門家によると楽をするのは諦めろとのことです」

魔王さま間と一緒の毛布の中で、幽霊対処の専門家、ヘナは申し訳なさそうに身を竦めた。

と、

「うにょう」

寝言をもらして傾いてくる魔王さま。
ヘナは、はうはうと支える。

< 93 / 582 >

この作品をシェア

pagetop