Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
驚いた。

初めてだった。
あこの中に、もう一人のあこが居た。

人に…しかも母親に、こんなに感情をぶつけてしまったのは、初めてだった。

足元には、カップの破片が飛び散っている。

床は、紅茶で水浸しになっていて、湯気が立っていた。

「あこっ!何て事するのっ…!!」

お母さんは、酷く驚いて床に腰を抜かす様にペタンと座り込んでしまった。

当たり前だと思う。
物を投げつけて、泣き叫ぶあこなんて初めて見たんだ。

「どうしたの?
………あこっ??」

リビングまで響くくらいの大きな音だったんだろう…

喪服姿のエリとヒロトがキッチンに駆け込んで来た。

「おばさんっ!?
大丈夫っ?」

エリは、座り込んだまま、興奮しているあこを見つめ続けるお母さんに近寄った。

あこは興奮しすぎて体が震えている。

『ねぇぇっ!!

聞いてんのっ?お母さんっっ!

あこの話聞いてんのかって言ってんのっ!!』

お母さんだけは、何があっても、あこの味方だと思ってたのに…

反対されたショックで、頭に血がのぼる。

「あこーっ!やめてぇーっ!」

ガシッ!!!

エリに抱きつかれる様に抑えつけられて、ハッと我に返る。

カシャッ……
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