Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
えっ…?
何?これ………

あこ…何しようとしてるの?

『…あっ…』

あこの右手にはカップの破片がしっかりと握られている。

鋭くとがった、その破片の先は、あこの左手首を狙って目を光らせていた。

「ヒロトォーッ!
やめさせてぇーっ!!」

いつも冷静なエリが乱気になる姿を見るのはこれで2回目だった。

今、あこの中のもう一人のあこは、確かに思っていたんだ。

あっちゃんのところへ行こう。


バシィッッ!!

『…ッ、いったぁーッッ!!』

カシャーン…パリンッ!

ヒロトは、あこの右手首をおもいっきり叩いた。

その叩かれた反動で、カップの破片が床に落ちて、まっぷたつに割れてしまった。

「あこのばかっ!!

もうこんな事しないって言ったじゃんっ!
嘘つきぃっ!!」

エリはあこのお腹にしがみつくように抱きついて泣き叫んでいた。

お母さんは、床にはいつくばる様に泣いていた。

『だってっ…

産めないならっ…あこは生きてく意味ないもんっ!

あっちゃんも居ない…赤ちゃんも殺すしかない…死んだほうがマシだよぉっ…

あっちゃんのとこ行きたいぃぃっ…』

あっちゃん!

赤ちゃん、産んじゃいけないんだって!

なら…あこは頑張らなくてもいいよね??

あっちゃんのとこに行くよ。

赤ちゃんと一緒に行くよ。

3人で仲良く暮らそう?

あこの涙がエリの体に落ちていく…

ポタ…ポタ…
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