Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
『………?
何ですか?これ…』

あこは、鈴木さんが差し出した一冊の水色のノートをじっと見つめた。

表紙なんか折れ曲がっているし、先っちょなんて切れている部分もある。
一冊の普通のどこにでも売っている様なノート。

「これ、アツシくんの物なんですか…?」

エリが上目使いで鈴木さんに問掛けると、鈴木さんはあことエリに向かってにっこりと微笑んだ。

あこは鈴木さんのその笑顔につられるように、ノートを手にとった。

『何のノート?』

年季の入ったノートを見つめる。

「…それねぇ、アツシくんがなくなった後、ベッド片付けてたら、マットレスの下から出てきたのっ!

アツシくん、日記書いてたみたいよ?
読んでみたら?」

そう言って、鈴木さんは、忙しいのか、すぐにナースステーションに戻って行った。

日記…
きっと、闘病生活の事とか…
苦しくて誰にも言えない様な事が書いてあるんだろうな…

あこには読めない。

あっちゃんが苦しんでいる姿を思い出してしまう。

あっちゃんが死んでしまった現実さえ、今だ受け入れられていないあこには読めないよ…

ノートを持つ手が少しだけ震えてしまった。

「あこ、見てみたら?」

ドン!
『無理っ!!
あっちゃんが苦しい、辛いって書いあるのをわざわざ読めって言うのっ!?

そんな…の、無理!』
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