Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
そして、あこは一人になった。


…ううん!!
違うね。
一人なんかじゃないよ!

だってね…

あこのお腹に宿る小さな奇跡の結晶。


こんなどうしようもないほど情けないあこをずっと隣で支え続けてくれる、エリとヒロトくん。

心配症なお母さん。

いつもあこの味方になってくれるお姉ちゃん。

毎日、あこを気遣って電話をくれる優しいおばちゃん。

卓ちゃんとユキはね、3日に一度は会いに来てくれるんだよ。


あこの回りには優しさがこんなにも溢れています。

全部、全部、あっちゃんが残してくれたんだね?

あっちゃん、手紙ありがとねっ!!

あこ、一生大切にするからね!!


そして、あこは目に涙を溜めて冬の空を見上げた。

涙で霞んでいるからなのかな…


空も泣き出しそうな灰色。


『あっちゃーんっ!!
ありがとねぇー!!
あこ、負けないからぁー!!』

灰の空に吸い込まれてしまった、あこの声。

もちろん、返事なんて返って来ない事は分かってる。

それでも…

小さくてもいいから、奇跡を信じてみる。


「あこ…?」

あこの横でエリが不思議そうな声を出した。

あこはそれでも空を見上げたままだ。

『ね…エリ、知ってる?…グスッ…
こーすると、あっちゃんがだっこしてくれるんだ…』


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