Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
あこがそう言って笑うと、親方さんは本当に嬉しそうに、渋くて男前の顔をくしゃくしゃにして笑った。


―――!!


『あぁぁっ…また来たぁっ…痛ぁっ…うーっ、ウゥー…』

「ほら!あこ、しっかり!しっかり!
待合室に入って!!」

『ゥゥゥ…ん。
じゃあねっ…エリ、おばちゃっ…卓ちゃんっ!』

何とか必死に笑顔を作り、エリとおばちゃんと、卓ちゃんに手を振って待合室に入った。

そして、ついに3分間隔に襲って来る痛み。

赤ちゃんが出たがっているサイン。

あこはとうとう分娩室へ行く事に。

お母さんと看護婦さんによっかかりながら、痛みに耐えて歩いて分娩室へ行った。

もう間隔が無い。

もう、ここまで来たら、頑張るしかない。


「はいっ!吸ってー!吸ってー!吐いてー!
もう一回ー!」

看護婦さんの声に合わせて呼吸をする。

『スッ…スッ…ふぅぅぅー!!

いたいーっっ!!』

もう…汗なのか、涙なのか…何なのか分からない。

痛くて、痛くて。
苦しくて、苦しくて。

今にも意識が飛んでしまいそう。

頭の中は常に真っ白で、何も考えられない。

ただ、この痛みに耐えて、踏ん張る。


どれくらいの時間が過ぎて行ってるのだろうか…

もう半日はこうしてる様な気持ちになる。

『いた―――い!!
もうっ、だっ…ダメですー!!…ハァー、ハァー。

あぁぁぁーッッ…』

「大丈夫よー!大丈夫ー!
ゆっくり!はい!吸って、吸って、吐いてー!!」


パタパタパタ…
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