Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
そう言って、おばちゃんは目に溜めていた涙を右手で拭った。


あっちゃん。
あこもそうだったよ?
あのね、あっちゃんの事考えない日は1日だって無かったんだよ。

おばちゃんの真似をするように、あこも涙を拭った。

『あこも…毎日あっちゃんの事ばっかりだったよ!』

おばちゃんは嬉しそうに笑って、ドアノブを右へ回した。

ガチャッ……
ドアが開いた。

「おぅ!おっせぇよ!!
マジ喉渇いた…どこまで買いに行ってたんだよ!!」

その声を聞いて、胸がきゅぅ…っと音を立てた。

前よりも少し弱々しいけど、生意気そうで、プライドの高い、懐かしい声。

低い、男の人の声。
低いのに、優しくて…甘い声。

大好きな…声。


あっちゃんがそこに居る。

会いたくて、会いたくて、仕方なかったよ。
…あっちゃん。

「フフフッ…(笑)」

ドアの向こうで、おばちゃんは口に手を当てて、はにかんだ様に笑っている。

「…?何だよ!気持ち悪ぃなっ、ババァ!

早くポカリくれ!」
< 8 / 286 >

この作品をシェア

pagetop