Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
久々に聞く大好きな声は、ちょっと苛立った様な、呆れた様な声だった。

…きゅぅ。
あこの胸が甘く切ない音を出した。

「あらっ!人をババァなんてっ!

折角ポカリよりも必要なもの買ってきてあげたのに(笑)」

そう言っておばちゃんは廊下に立っているあこに向かってウインクした。

「はっ!?
意味がわかんねぇ!

なんでもいいから…ポカリ飲みてぇんだけど。」

あっちゃんは本当喉が乾いているみたいだ。

「そうね!!でも、その前に…」

おばちゃんはあこに向かって手招きをした。

ドクン…ドクン…

おばちゃんの手に引かれる様に足を前に出す。

「…?何?誰か来たの?」
あっちゃんの声。

あっちゃん。
あこだよ?

あこを見たらどんな顔をするの?

また…あこを突き放す?

…でもね、あっちゃん?
あこは、どんなに突き放されても、どんなに傷つけられても…

もう離れない。
絶対に離れない。

そう決めて、ここに来たの。

あこの隣にいた優しい人も…

全て捨てて、あっちゃんのとこに来たんだよ。

ギュッ………
瞼を力一杯閉じた。

足を踏み出す。

勇気を出して、そっと目を開ける……


「………あこ…」

眩しい。
体に電気が走った。

『あっちゃんっ!!』
大好きな人。
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