Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
9月も中場に差し掛かろうとしている。

相変わらず残暑が厳しい…。

大学はエアコンもなく、人の数だけムシムシしていて汗ばんでしまう。

『…はぁっ…今日も連絡無しかぁ……』

大学の講義を終えて、携帯を開き、にらめっこしながら大きな溜め息を吐く。

待っているのはは、あっちゃんが意識を取り戻したと言う連絡だ。

電話が鳴る気配は全くない。

日に日に溜め息の数と溜め息の深さが増していく。

「大丈夫だって!今日の夜あたり連絡来そうじゃないっ?」

あこのとなりで、教科書とルーズリーフを鞄に押し込みながら、エリがにっこりと微笑んでいる。

あこは、眉毛を八の字にして頷いた。

「今から…病院行ってみる?」

エリの一言に迷わず首を横に振った。

行っても、あっちゃんの病室には入れない。

連絡がない事はその事を意味する。

あっちゃんの元気な顔を見なければ意味がない…辛いだけ。
それに怖い。

しかも…

不思議な事に、今日だけは病院に行ってはいけない気がして仕方なかった。

『今日は行かない!
…まっすぐ家に帰る!
帰ろっか!エリ!』

あっちゃん…

あの日、あこを導いてくれたのは、あっちゃんの最後の力だったのでしょうか?

あの日は…ただ家に帰りたくて……

とにかく、真っ直ぐ家に帰りたくて…

自分でも不思議で仕方なかったんだよ?

あの日、なんとなく病院に向かっていたら、奇跡はおこらなかったよね?

あっちゃん…


「じゃあねっ?
また明日ねっ!!

…あこ?元気出しな!アツシくん心配するっつーの!(笑)

辛くて限界ならいつでも連絡よこしな!」
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