Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
シャラシャラ…

エリは、にっこり笑って顔の横で数回携帯を揺らした。

あことお揃いのピンク色のハートのストラップが揺れていた。

『エリ…うんっ!
ありがとねっ?』

エリの存在の大きさを思い知らされて、少し泣きそうになってしまった。

いつもの様に、エリの家とあこの家の中間地点で笑ってエリと別れた。

コツ…コツ…コツコツコツ…

それからは、急ぎ足で家に向かった。

サンダルのヒールの音がだんだん早くなって行く。

理由は分からない。

だけど、体が勝手に急いでいた。

家のすぐ近くの角を曲がった。

カチッ…カチッ…

角を曲がると、点滅するオレンジの光があこの目に飛込んで来た。

あこの家の前に一台の車が停まっていた。

――――!!

ドサッ……

あこの手から鞄が勢い良く落ちてしまった。

『…嘘…何で??』

あこの家の前に停まっている車を見て、体が凍りついてしまう。

パールブラックのセダン。

地面にべったりとつきそうなくらい車高が低い。

フルスモークの真っ黒なガラス。

見覚えのある車…
あっちゃんの…車。

これは…夢?
あっちゃんがこんなとこに居るはずないもんね!!

そう…だよね…

あっちゃんはまだ病院で…
あっちゃんはまだ意識が戻ってなくて…

これは、何かの間違いに違いない!

…でも…でも…

あの車は…
間違いなく………

『…ハァッ…ハァッ…』

とりあえず、落ち着こうとして、二回だけ肩で息をした。
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