シン
その電話以来、
無表情なメガネとは病院以外でも時々会うようになった。
特に話すでもなく、どこかに出かけるでもなく………、
ただ一緒に時間を過ごすだけだった。
案外無表情でもないこと、あと…コーヒーが好きなこと、、、、、、、、、、、
それと…結婚してないことも。
………………。
それしか知らない。
ただいつも暇つぶしにお茶するだけだから。
何だかんだで『医者』って職業は忙しいんだってことも知った。
でも時折……すっごい悲しい目をするんだ。
その瞳はすぐに色を変えて隠れてしまうけど、どこかでアタシと同じ感じがしてたのかもしれない。
無表情なメガネがする悲しい目は……、
アタシを哀れんでいる様子もなく、自分の中に何か秘め事があるかのような……………………………
深くて暗い悲しい目。
それをアタシはあえて気づかないふりをしてた。
きっとアタシも同じ目をしてるから…。
世界に色を見い出せない目………。
小さい頃からの癖で、人の内面に土足で入っていくのが苦手だった。
だから余計聞けなかったのかもしれない。