シン
………だからアタシは、無表情なメガネのことも他の医者と同じくくりで考えてた。
ハデな生活して、外車乗り回して、女遊びして、プライドが高くて、やっかい者の集まり………。
言わば最低な人種。
大嫌いな人種。
その日の夜、無表情なメガネから、律儀にも着信があった。
『今日、電話くれた??』
『うん。した……』
『いつもと違う時間にかかってきたからビックリしたよ。仕事で出られなくてごめん……。』
『別にいいよ。大した用じゃなかったし…………。』
男の嘘には慣れてるつもりだった。
………でも、その時のアタシは何か引っかかって、次の言葉が出てこなかったんだ…。
……沈黙が続いた。
『明日、ちょうど土曜日だし会おうか?』
あっちから提案してきた。
『うん。いいよ。』
いつものように時間と場所を指定して電話を切った。