シン
言葉
『君は汚れてなんていないよ。』
その後、そう、無表情なメガネは優しくつぶやいたんだ。
『ケガレテイナイ』
心に突き刺さった。
そんなこと言われたの初めてだよ…。
アタシはずっと自分は汚れてるんだって思ってた。
『あなたは汚れてるわ。お父さんとそっくりね!』
アタシが高校生の時朝帰りしたら、母親はそうヒステリックに怒鳴った。
アタシは…その時、ちゃんと謝るつもりでいたんのに……。
悪いことをしちゃったって、ちゃんと反省してたんだよ…。
『きちんと育てたつもりでも、やっぱり…………。』
そう言って、母親はアタシを汚いものでも見るかのように見つめた。
……アタシには同い年の妹がいる。
いわゆる腹違いの子。
父親の愛人の子供だ。