シン
だから当時、父親は家を空けがちだった。
その分母親は愛人の子に負けないよう、アタシを厳しく育てた。
父親へのあてつけかのように、アタシは厳しく躾られたんだ。
『みりあはお父さんにそっくり』
そう母親はよく口にした。
父親を愛してない母親が、いつもそうアタシに言う。
アタシは鏡が嫌いになった。
そう言われる度に、アタシは父親を軽蔑すると同時に、自分も否定し始めた。
父親に似てる自分が大嫌いだった。
自分の顔も性格もなにもかも……。
だから自分の『芯』を刺そうとした。
それを見た母は半狂乱で止めに入った。
(中途半端なことしやがって……。
止めに入ったのもきっと世間体のため。
娘が自殺すると、自分の評価が下がるからでしょ……)
腕から血が出た…。
真っ赤な血………。
アタシの体にもこんなの流れてたんだ……………。
妙に安心したのを覚えてる。