シン
……………ある日の午後、母が庭先で花に水をあげていた。
『ちゃんと元気に育つのよ。』
そう笑顔で優しく花々に声をかけながら、
虫に食われないよう、
花ひとつひとつに丁寧に殺虫剤をまいていた。
花々は……青々とした葉に時折水滴をのせながら、
太陽の光を散々と浴びて、すくすくと育っている。
上へ上へと向かっていた………。
あの日以来…
アタシは無表情のメガネのことをよく考えるようになった。
メニュー