フルパワー・ラブ!!
彼はそう尋ねた。
図書室にいるのだから本を読むに決まっているだろうに。
武田くんは意外と可愛いところもあるらしい。
「たまには本でも読もうかと思って」
笑顔を作って話す。
なかなか近くで、正面から顔を見ることがないので、緊張した。
「へぇ…。どんなものを読むの?」
武田くんの声は、同世代の男の子のものと比べると、高めで甘い。滑舌のいいよく通る声が、特にお気に入りだ。
「ミステリーかな。アガサ・クリスティとか」