フルパワー・ラブ!!


 彼はそう尋ねた。


 図書室にいるのだから本を読むに決まっているだろうに。


 武田くんは意外と可愛いところもあるらしい。



「たまには本でも読もうかと思って」




 笑顔を作って話す。

 なかなか近くで、正面から顔を見ることがないので、緊張した。



「へぇ…。どんなものを読むの?」




 武田くんの声は、同世代の男の子のものと比べると、高めで甘い。滑舌のいいよく通る声が、特にお気に入りだ。




「ミステリーかな。アガサ・クリスティとか」


< 8 / 16 >

この作品をシェア

pagetop