僕は家族でした。
 
 それから三ヶ月が過ぎたある日、僕の家族に新しい家族が増える事になる。


 生後八ヶ月のヨークシャテリア『ウラン』である。


 実は僕、内緒にしていた事があるんだ。


 僕が死んだあの日、実はウランに会いに行っていたんだ。


 生後五ヶ月経っても買手の見つからないウランに、僕は言った。


『もうすぐ、君の家族が現れる。もう少しの辛抱だよ』


 ウランは眠っていたから気付かなかったかも知れない。でも、僕にそっくりのその子は必ず僕の家族の所に行く、そして必ず幸せを運んでくれる、そう確信していたんだ。


 僕からの最後のプレゼント、


 受け取ってね。
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