「 」の法廷
それを否定したいはずなのに。
否定の材料を根こそぎ奪われて結局、私はただの変な子扱い。
でも周りに恵まれていたせいか、いじめとか仲間外れとか。
そうした陰湿なものに巻き込まれたことはなかった。
──某県の某市のとある町内の。
行動範囲はボロ屋と学校。たまに近場の中心部へ。
世界から見たら【私】という個の世界はあまりにも狭く小さくて。
幸せも不幸せもその範囲内でしか展開されない。
でも、狭いながら色んなことが起こっている、と思ったりなんかして。
*
「──照れているのか?」
照れてなんかいない。不気味がっているのだと叫べたらどれほどいいか。
無言でそれを受け流して、(更にクラスに響く黄色い悲鳴に耳を押さえて)最高の筈だった一番後ろの窓側の席で再発したおかしな出来事に頭を抱えた。
──おかしすぎる
自分のことは自分がよく知らない私にとっては、自信ってものはあるようでない。
けれど、
いくら何でもおかしすぎる。
自分の彼氏を間違える女がどこにいるのか(ここにいたらしいが)。