「 」の法廷



 *



 二度あることは三度あり、車は急には止まれない。


 再発し始めたが最後。多分、私のおかしなこの持病(とは思いたくない)はガソリン切れを起こすその瞬間まで、暴走列車または暴走トラックのように突っ走っていくのだろう。


 だけど、



「…………」





 ──どう考えてもおかしい。おかしすぎる。


 たとえばだよ?

 たとえば、おかしいのは私のこの持病ではなくて、周りの人間だったなら?


 そう。もっと飛躍してたとえばこの隣に堂々と、盗人猛々しく彼氏ポジションを居座っているこの男子がだ。



 未確認生命物体。
 それに準じる非現実的存在だったならば、と。



 そこまで考えて一度振り払ってみたけれど、

 意識はちゃんとあるし機能している。


 なら、

 この電波な発想はあながち嘘ではないのかもしれない。



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