「 」の法廷
の、はずだったのになああああ~っ!
*
「ああ゛……」
出るのは溜め息と涙と鼻水と、多分幸せもぶっ飛んで行った。
十七年生きて、多分今までで一番幸せだった。けど、その頂点に君臨していたのは昨夜まで。
片思いが実った初めての恋。
手探りながらも頑張った恋。
は、昨夜あっけなく終幕した。ちなみに三ヶ月記念だった。
「どうしたの菜月。世界の終わりを勧告されたような顔をして」
そのたとえはどうかと思うが、あながち間違いではないのが心に痛い。
「うう゛」
「ちょ。何? あんた泣いてるわけ?」
「夕ちゃああんっ」
「ちょっと待って、抱きつかないで、何があったの……って、菜月鼻水汚い」
ぐじゅぐじゅと涙とか垂れ流れるものすべてを夕ちゃん──笠原夕、私の友達──の制服で拭って、私は彼女の胸を借りて泣いた。
話せるところまで。
昨夜あった出来事を私は夕ちゃんにぶちまけた。
ためていたぶん、堰が切れたのだ。