「 」の法廷
「昨日、夕ちゃんと話していたじゃない!」
「落ち着けって!」
「そうでしょ!?」
「知らないよ、そんな奴は。兎に角落ち着け」
記憶はちゃんとある。
失恋してその話を聞いてもらっていて、それから突然現れて。一言二言。あんただって夕ちゃんとちゃんと話してたじゃないっ!
ふと、閃いて手帳を鞄の中から取り出した。
ほら、ちゃんといるじゃない。
夕ちゃんはちゃんとここにいる。
「ほら、この子だよ!」
と、手帳の中から夕ちゃんと二人で撮ったプリクラを見せる。
けれど、奴もクラスメートも先生も。私が望んでいた反応はくれなかった。
「何で……どうして、忘れちゃったとか、そういうこと」
わけがわからない。
わけがわからなくって何を考えていいのか何をすればいいのか何もかもよくわからない。
「先生、ちょっと俺、連れて行きます」
体の力が抜けて倒れそうになる。
黒田太陽に支えられて何も考えられず私は、彼に促されるまま教室を出た。
黒田太陽は私を保健室まで連れて行って、