「 」の法廷



「──え? 誰?」


 と。





「三ヶ月記念だったのに、あんまりでしょあんまりでしょー!? こんな裏切り方ってある? ありなわけ!?」

「タンマ。待って、菜月落ち着いて。まずは鼻水を拭け」

「うん……」



 差し出されたティッシュを遠慮なく受け取って、豪快にちーんする。

 夕ちゃんはぽんぽんと私の背中を優しく叩いてくれて、落ち着かせてくれた。





「落ち着いた?」

「少し」

「でさ、その話なんなわけ?」

「でしょでしょー! もう何なの、とか思うでしょ!?」

「いや、そうじゃなくて、さ」

「?」

「何、その作り話」

「へ?」



 イマナント。



「いや、だからさ。その話っ。まさか新種のノロケとは言わないよね」

「な、何言ってんの夕ちゃん」




 確かに予定では今日、ウザがられてもどんな反応をされてもノロケ全開で昨日の話をするつもりでいたけれど、



 悲しい事実。

 嘘だとどれほどよかったことか。

 残念なことに私の失恋は確定事項なのである。



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