「 」の法廷



「何か用ですか?」


 警戒心剥き出しでそう言うと、彼はちょっぴり悲しそうな顔をした。

 うう゛。
 何か何でも絵になる人である。




「用って、謝りに」

「何が」




 謝られるようなことに巻き込まれた記憶もなければ、こんな美少年と関わりを持ったこともない。


 てか、



「誰?」

「誰って。……それはちょっと傷つくなあ」




 ぽりぽりと頬を掻いて困った顔をする。どちらかといえば、困っているのは私の方だ。


 辛抱強く待っていると謎の王子様は観念したように、



「黒田太陽」

 と名乗り、







「お前の彼氏だよ」  



 などなど言いやがった。



 ふーん。

 て、



 えええええええ!?




< 8 / 29 >

この作品をシェア

pagetop