幼なじみの執事
「絢斗は旦那様にはご挨拶させて頂いたって言ってましたが、葵衣様には…」
「何も聞いてない…今日出てくなんて……聞いてないよ」
消え入るようなあたしの声に、神影は頭を下げた。
「本当ですか?!申し訳ございません」
意識が遠のいていく感じがして、あたしの身体がよろめいた。
「葵衣様!大丈夫ですか?」
神影が焦ってあたしを支えた。
「だって…さっきまでそこに居たんだよ?」
「絢斗が…ですか?」
あたしは神影の両腕をつかみ「どこに行ったの?!」と詰め寄った。
神影は視線を下に向け、ゆっくりと首を何度か横に振った。