幼なじみの執事
「しばらくしたら連絡すると言って、まったく何も教えてくれずに出ていってしまって…」
「そんな……」
その場から駆け出すと、後ろから「葵衣様!」と神影の声が響いたけど、あたしはそのまま家の門を飛び出した。
「絢斗?!絢斗!」
さっきまで居たんだから、まだこの辺に……
そう思って名前を叫んでみても、単にあたしの声がこだまするだけで返事はなかった。
ケータイをバッグから取り出し、絢斗の番号を呼び出した。
コールが5回ほど鳴って、留守電に切り替わる。
あたしはしつこく何度も、切っては発信を繰り返すけど絢斗は出てくれなかった。
ヒドイよ。
一方的すぎるよ……