幼なじみの執事


何回目だろう……


いい加減、諦めなよって

自分の心に向けて呟いた。




『……ピーという発信音の後にメッセージを…』




「ねぇ絢斗、電話に出てくれないんだね……
どうして勝手に出ていったの?さっきの春日部さんに対する態度は何?
聞きたいことたくさんあるのに……」




時間が足りずに、そこまでの伝言で終わった。





「はぁ…葵衣様、探しました。夜に1人で歩くなんて危ないですから、帰りましょう」



血相を変えた神影は、あたしを見つけて安堵した顔になる。




「ねぇ神影、あたし絢斗に嫌われることしたかな?」



「葵衣様……」




神影はあたしにどう言っていいのか分からずに、口を閉ざしてしまった。




2人で家へと向かう間、言葉を交わすことはなく


ただただ申し訳なさそうにする神影に、泣き顔を見せないように我慢した。



更に神影を悲しませて、困らせたくなかったから……




< 127 / 180 >

この作品をシェア

pagetop