幼なじみの執事
何回目だろう……
いい加減、諦めなよって
自分の心に向けて呟いた。
『……ピーという発信音の後にメッセージを…』
「ねぇ絢斗、電話に出てくれないんだね……
どうして勝手に出ていったの?さっきの春日部さんに対する態度は何?
聞きたいことたくさんあるのに……」
時間が足りずに、そこまでの伝言で終わった。
「はぁ…葵衣様、探しました。夜に1人で歩くなんて危ないですから、帰りましょう」
血相を変えた神影は、あたしを見つけて安堵した顔になる。
「ねぇ神影、あたし絢斗に嫌われることしたかな?」
「葵衣様……」
神影はあたしにどう言っていいのか分からずに、口を閉ざしてしまった。
2人で家へと向かう間、言葉を交わすことはなく
ただただ申し訳なさそうにする神影に、泣き顔を見せないように我慢した。
更に神影を悲しませて、困らせたくなかったから……