幼なじみの執事


「なに?」



素直になるって決めたはずが突然目の前に現れた絢斗に、心臓が壊れそうなほど波打って素っ気ない言い方になる。




「心配だった」



「同情?もしそうなら、そんな中途半端な同情はいらないから」



ダメだよ……


やっぱり絢斗を前にすると、強がりしか出てこない。





「同情なんかじゃない…」



彼の苦痛に満ちた表情が、どういう気持ちから来るのか分かんない。




「じゃ、何?坂城の娘に対する責任感?」



可愛くないセリフが、次々とあたしの口から飛び出す。



朱里、仁……ゴメンね。


やっぱりあたし

なかなか素直になれないや……




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