幼なじみの執事
傍にいて
「葵衣様、おはようございます」
「あっ…おはよ」
昨日の今日でバツが悪い。
絢斗はいつもどおり執事として動いてて、昨日のことなんてなかったかのようだった。
でも一度意識したあたしは、胸の音がバクバクとうるさくてたまんなかった。
あれからいろいろ悩んで、1つの明確になった答えは…
執事でもいいから傍にいて欲しいということ。
だから、まずは謝っとくか……
「絢斗、昨日はゴメンね?」
一瞬驚きに満ちた顔は、すぐに冷静さを取り戻し微笑んだ。
「絢斗を見つけて興味本意で追っかけたら、後に引けなくなっちゃって…」
「ああいった場所は何かと危ないですから、もう止めてくださいね」
「危ないって?」
「男に声を掛けられてたでしょう?」
「…うん」
「あまり、心配させないでください」
素直になったあたしに向けられたのは、優しく柔らかな笑顔。
キュンと胸が跳ねた。