幼なじみの執事
「葵衣様!!」
懐中電灯で階段の途中にしゃがみ込んだあたしを見つけると、絢斗が駆け寄ってきた。
「絢斗……怖かったよ」
絢斗の腕にしがみつくと、頼れる腕があたしの肩を抱いた。
「とりあえずリビングに行きましょう」
あたしを優しくソファーに座らせると、目の前でひざまずいた。
「しばらく停電したままかもしれません。お風呂に入ったばかりですか?」
あたしが頷くとテーブルに懐中電灯を置いて、あたしの首に巻いたタオルを手にした。
「失礼いたします」
そう言って、タオルであたしの髪をふき始めた。
絢斗の大きな手が、決して乱暴じゃない手つきであたしの頭を包む。
静かな空間で、あたしの心臓の音が絢斗に聞こえるんじゃないかと思えば思うほど、さらに鼓動が激しくなっていく。