幼なじみの執事
それからかなり時間が経ったように思うけど、まだ電気が復旧しない。
「かなり時間が掛かっていますね…」
あたし、ヤバい。
どうしよう……
「葵衣様…?!どうされました?」
自分の肩を両手で包み、少し震えるあたしに絢斗が気づいた。
「ちょっと、寒くなってきちゃって…」
お風呂からあがったばかりだったから、濡れていた髪などが体の熱を奪っていった。
「今すぐブランケットをお持ちします」
立ち上がった絢斗の腕を、無意識に掴んでいた。
「葵衣…様?」
「離れないで、絢斗…」
スッとしゃがんだ絢斗は、あたしの手の上にソッと自分の手を添えた。
「すぐに戻ります。風邪を引かれては困りますから」
微笑んだ絢斗に、コクリと頷いた。