幼なじみの執事
なんで絢斗が神影の元に来たのか知ったのは、しばらくしてからだった。
無邪気に尋ねたあたしに、神影は切なげに微笑んであたしの頭を撫でながら話し出した。
「絢斗のママは、病気で天国にいっちゃったんですよ」
幼いながらも、死というものを少しだけは分かっていた。
天国に行くということは……
「絢斗はもうママに会えないの…?」
悲しくなったあたしの涙声に、神影の目がみるみる真っ赤になったのを今でも憶えている。
「そうです。わたくしも絢斗も……もう一度会いたい」
涙が零れそうな神影を見て、何故かあたしがワンワンと泣き出した。
「葵衣様が泣くことないんですよ」
そう言って膝をついてあたしを抱きしめた神影に手を回すと、全身が小刻みに震えていた。