幼なじみの執事
ライバルの出現
「ただいま」
玄関には、見慣れないリボンがついた可愛いパンプス。
誰……?!
そのパンプスを見つめたまま動けないでいると、リビングのドアを開けた絢斗が焦って駆けてきた。
「葵衣様、おかえりなさいませ」
すると絢斗の後ろから、そのパンプスの持ち主だと思われる女の人が顔を出した。
「おかえりなさい、葵衣ちゃん」
馴れ馴れしく声を掛けてきた女の人の顔を、ジッと見つめた。
この人、なんだか見たことある。
……あっっ!!
「申し訳ありません。わたくしの大学の友人なのですが、どうしても葵衣様にお会いしたいと…」
「スゴい、絢斗!ホントに執事してるんだ?カッコいい〜」
「からかうなよ、チカ!」
照れながら小声でそう言った絢斗に、あの黒い感情がよみがえる。
そうだよ…やっぱり。
『チカ』で確信したよ。
あの地下のバーで絢斗と一緒にいた女の人だ。