幼なじみの執事

ライバルの出現



「ただいま」




玄関には、見慣れないリボンがついた可愛いパンプス。


誰……?!





そのパンプスを見つめたまま動けないでいると、リビングのドアを開けた絢斗が焦って駆けてきた。




「葵衣様、おかえりなさいませ」



すると絢斗の後ろから、そのパンプスの持ち主だと思われる女の人が顔を出した。




「おかえりなさい、葵衣ちゃん」



馴れ馴れしく声を掛けてきた女の人の顔を、ジッと見つめた。



この人、なんだか見たことある。



……あっっ!!




「申し訳ありません。わたくしの大学の友人なのですが、どうしても葵衣様にお会いしたいと…」



「スゴい、絢斗!ホントに執事してるんだ?カッコいい〜」



「からかうなよ、チカ!」



照れながら小声でそう言った絢斗に、あの黒い感情がよみがえる。




そうだよ…やっぱり。


『チカ』で確信したよ。



あの地下のバーで絢斗と一緒にいた女の人だ。




< 52 / 180 >

この作品をシェア

pagetop