幼なじみの執事

儚き夢



「はぁ…ただいま」



「葵衣様?!」




あたしを見た瞬間に、慌て出す絢斗。





「電話を下されば、お迎えに……」




そう言ってすぐに、あたしに真っ白なタオルを手渡した。




「大丈夫って思ってたら、だんだん雨が強くなっちゃって」





電車に乗ってる間も制服はびしょ濡れで、身体中が冷えきっていた。




「すぐにお風呂のご用意いたします」




「喜代美さんは?」




「本日は予定があるとかで、もうあがられました」




「……そう」





今日もパパとママがいない。


せめて喜代美さんに、居て欲しかった。




最近は絢斗と2人きりになると、どうも意識してしまう。




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