幼なじみの執事
「実は…あたしたち、つき合い始めたんだ。
ずっと絢斗に気持ち伝えてたんだけど、昨日やっとでOKもらえたの」
頬を桃色に染めて話す千嘉さんとは対照的に、あたしの顔は青ざめていった。
ウソでしょ…?!
千嘉さんが絢斗を好きだと聞いても、なぜだか2人はつき合ったりしないという自信を持っていた。
根拠のない自信だったけれど、絶対にないって思ってたのに……
どうしても信じられなくて、絢斗に“本当なの?”という視線を投げかけた。
どうか…冗談だって……
ウソだって言ってよ。
けれど返ってきたものは、耳を塞ぎたくなるような答え。
「そうなんです…彼女とお付き合いすることに致しました。
執事の仕事などには、支障をきたすことは無いように致しますので」
ナニイッテンノ…?
千嘉さんが…絢斗の彼女?
「では、葵衣様。お気をつけていってらっしゃいませ」
一礼した絢斗は千嘉さんと行ってしまった。
残されたあたしは、足がすくんで動けない……