幼なじみの執事
「…もしもし」
『葵衣様?!雨が降りだしたので本屋までお迎えにあがったのですが、いらっしゃらなくて……今どちらに?』
千嘉さんを置いて、迎えに来たっていうの?
でもそんなの、全然嬉しくないよ…
それは執事としての、責任感からなんでしょ?
胸には、久しぶりにイライラした感情が沸き上がる。
「今、仁と一緒にいるの。心配しなくていいから、さっさと千嘉さんのとこに帰ったら?」
どうしても刺々しい言い方になる。
『あの同級生の…?』
「そう、本屋に行くなんてただの口実。仁と会うためだったの」
『そうなんですか…』
なんでそんな沈んだような声を出すの…?
ワケ分かんないよ……