幼なじみの執事
「仁に送ってもらうから、気にしないで休んで。じゃあね」
早口で言葉を並べ、乱暴に通話を切った。
「ふ〜ん。オレを彼氏っぽく言いたくなるような出来事があったんだ?」
テーブルに肘をついた手を顎にあて、呆れたようにこっちを見ている仁。
「ゴメン、仁の名前使っちゃって」
「まぁ、いいけど」
「絢斗に…彼女が出来たの……」
「そういうことか」
ふぅと息を吐いた仁は、カフェオレを一口飲んで話し出した。
「葵衣はさ、コクったりする気はねぇの?」
「ない…」
「どうして?」
どうして…?
そう聞かれると、答えにつまる。