幼なじみの執事
執事だから…?
幼なじみだから?
違う…本音は……
「拒否されたくない…嫌われたくないの」
口にして、また涙が頬を伝う。
そのままテーブルに顔を伏せたあたしの頭を、仁はゆっくりと静かに撫でた。
「そうか…」
その一言だけで、それ以上何も聞いてこない仁。
だけどあたしが泣き止むまで、優しく頭を撫でる手だけは止めずにいてくれた。
泣いたって現実は変わらない。
けど、あたしには変える勇気なんて欠片もないから……
だったら今はとにかく泣いて、泣いて
事実を何とか受け止めるしかないんだよね?
泣いて羨むしか出来ない自分が
ただただ情けなくて虚しくて仕方がなかった。