幼なじみの執事


執事だから…?


幼なじみだから?



違う…本音は……




「拒否されたくない…嫌われたくないの」




口にして、また涙が頬を伝う。


そのままテーブルに顔を伏せたあたしの頭を、仁はゆっくりと静かに撫でた。




「そうか…」




その一言だけで、それ以上何も聞いてこない仁。



だけどあたしが泣き止むまで、優しく頭を撫でる手だけは止めずにいてくれた。




泣いたって現実は変わらない。


けど、あたしには変える勇気なんて欠片もないから……



だったら今はとにかく泣いて、泣いて


事実を何とか受け止めるしかないんだよね?




泣いて羨むしか出来ない自分が


ただただ情けなくて虚しくて仕方がなかった。




< 75 / 180 >

この作品をシェア

pagetop