幼なじみの執事
「葵衣様、こちらでよろしいでしょうか?」
「うん、そこに置いといて。ママはまだなの?」
「先ほど帰られました」
そう絢斗が言ったと同時ぐらいに、ママが部屋に入ってきた。
「ねぇ、葵衣見て見て!このネイル可愛いでしょ?」
ママを確認した絢斗は「失礼いたします」とお辞儀をして、部屋を出てった。
さっきまでネイルサロンに行ってたママが、自慢気にあたしに爪を見せている。
「もぉ、葵衣も一緒に行けば良かったのに。夏休みなんだから」
「ジッと出来るの待ってるの、疲れるんだもん」
「で、今日はこれ着るの?もう少し可愛らしいのにすればいいのに」
壁に掛かったシンプルなワンピースを見ながら、ママが小さくため息をついた。
「ホームパーティなんだし、別にこれでいいでしょ?」
「今回はパパが会社の若手をいっぱい呼んでるって言ってたから、葵衣の可愛いとこ見てもらいたいの」
親バカもいいとこだし…
そういうママがネイルサロンまで行って、一番張り切ってるじゃない。