幼なじみの執事
「葵衣さん、そんなに僕と2人にされたのが嫌ですか?」
「えっ?!そ、そんなことないですよ」
取り繕って、なんとか愛想笑いを浮かべた。
「無理しなくていいですよ。困ってるのが表情に出てましたから」
春日部さんはジュースの入ったグラスを、あたしに手渡した。
「ありがとうございます」
彼は赤ワインを手にした。
「嫌じゃなければ、僕とお話して頂けますか?」
確かに困ったけれど、この人に対して特に悪い印象は受けてない。
あたしはコクンと頷いた。
そのまま2人でテラスに向かう途中、絢斗と目が合った。
こっちを鋭く見つめる絢斗に、すぐに視線を逸らした。
なんであんな風に見るのか分かんない……
思わず動揺した気持ちを、押さえつけた。