男♂だから(~195pg)
「時間空いてるなら

おじさんとお茶でもしない?」


「やです」


気持ち悪い。


「声もかわいいねぇ」


気持ち悪い。


「うちにも同い年ぐらいの娘がいてねぇ」


気持ち悪い。


「でもついこの前交通事故で…。おじさん今寂しくて仕方ないんだよぉ」

可哀想な表情と声。



でもやっぱ

気持ち悪い。



「これどいてください」

と肩に上げたそのしわくちゃな手を下ろしたら

おじさん

今度はななの両手を握る。



「10分でもいいんだよ?おじさん悪い人なんかじゃないんだよ?」


なんて言うけどメガネの向こうの目が変だよ。

瞳が死んでるよ。



「なな、彼氏いるし、待ってるし!てかおじさんもーすぐあたしの彼氏来たら半分死ぬし!!」


おじさんが慌てて周りをキョロキョロ見回し始めたよ。

そしていきなり握ってたななの手を引っ張る。



「言葉にならないねぇ」

と聞こえるその声がさっきとはまた違う。



よりキモい。

てか怖い。



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